一山麻緒は、マラソン界のニューヒロインです。今、最も速くて強い日本一の女子マラソンランナーであるということを、1月31日の大阪国際女子マラソンでも証明してみせました。
一山麻緒選手の強さの秘訣と魅力について紐解いてみましょう。
優勝しても悔し涙
2021年1月31日に開催された第40回大阪国際女子マラソンは、これまでのコースと違い長居公園内に周回コースを作って、無観客でのレースでした。
川内優輝など、3人の男子ランナーがペースメーカーとして、最後までサポートするのも日本初の試みでした。野口みずきさんが2005年のベルリンで作った日本記録、2時間19分12秒に挑戦がクローズアップされました。
後半に日本記録ペースから遅れましたが、2位に2分19秒も離しての優勝でした。2時間21分11秒での優勝は大会新記録で、自身が2020年3月に東京五輪出場を決めた2時間20分29秒(名古屋ウィメンズマラソン)の日本歴代4位に次ぐ、立派な記録です。優勝しても悔し涙する姿がとても印象的でした。
福士加代子と永山監督の存在
一山麻緒は、1997年5月29日生まれ、鹿児島県の出水市出身です。ライバルに運動会で勝ちたいと、小学5年生から陸上を始めます。
インターハイに出場も予選落ちで、高校まで全国では無名に近い存在でした。2016年に京都のワコールに入社して、才能を開花させます。
頼れる大先輩で、ポジティブキャラの福士加代子選手の存在も大きかったのでしょう。背中を追い続け、様々なことを吸収していきました。
高校時代の無名選手から福士加代子をトップランナーに育てた、永山監督の指導力と経験も活かされます。目標とする大先輩と信頼する監督、サポートするチームの仲間に支えられて強くなりました。
日本記録だけを目指して、サポートする人たちの期待に応えたかったという悔しさから、優勝しても涙を流したのです。
公式サイト:https://www.wacoal.jp/spark-angels/profile/member/m-ichiya.html
強さの秘訣と魅力
細い身体で小柄なかわいらしい女性で、ほんわかした雰囲気を醸し出しています。一見して強靭なパワーとスタミナを持ったアスリートと感じさせないのですが、走り出すとフォームが素晴らしいのです。
腰の位置を高く保った腰高のフォームで、ストライドが大きく、体幹がしっかりとしたブレのない美しいフォームです。かっこいいという表現もぴったりフィットするでしょう。
みんなを喜ばせたいという思いを力に変えて、日本一・世界一の練習を積み重ねた成果なのです。大阪国際女子マラソンは、自らの中では不本意な結果でした。
大会1カ月前に5日間も、歩くのもままならない体調不良がありました。言い訳にしないところにも強さを感じます。まだまだ強くなる、魅力溢れる選手です。東京五輪、その後の活躍も期待できますね。