新谷仁美の日本記録が驚異的です。女子10,000mで、これまでの日本記録を18年ぶりに更新し、圧倒的な力を見せつけての見事な優勝でした。
東京オリンピック出場の内定も獲得し、メダルも期待できるほどの選手なのです。一度引退して復帰後、さらに強くなった新谷仁美選手の魅力に迫ってみましょう。
驚異の新記録
日本陸上競技選手権大会・長距離種目が、2020年12月4日にヤンマースタジアム長居(大阪市)で開催されました。女子10,000mに出場した新谷選手は、東京五輪マラソン内定の一山麻緒選手を徐々に引き離し、3,000m過ぎの前半から独走態勢になります。
次々と周回遅れになる選手が続出し、最後までペースを維持してゴール。2位の一山選手に約300mの差、3位以下全員を400m以上の周回遅れにする圧倒的な強さを見せつけました。
記録も驚異的で30分20秒44の新日本記録。これまでの自己ベストを36秒上回り、渋井陽子選手が2002年に出した日本記録30分48秒89を、28秒以上も更新したのです。
18年前の日本記録を距離にして、約150mも差をつけたことになる大記録です。今シーズンの世界ランキングでも2位に入るほどの素晴らしい記録で、東京五輪でも期待が高まります。
序盤をペースメークしてくれた積水化学の同僚・佐藤早也伽選手への感謝を伝え、喜び合う微笑ましいシーンもありました。
一度引退の苦難を乗り越え
32歳にして記録を伸ばし、急成長を遂げていますが、一度引退して苦難を乗り越えたランナーです。
新谷仁美(にいやひとみ)は、1988年2月26日生まれで、岡山県総社市の出身です。興譲館高校の1年生から、駅伝などで大活躍した選手でした。
高校駅伝のエース区間1区で、3年連続区間賞を達成した日本人は新谷選手だけなのです。高校3年生の時には優勝に導きました。
2006年から高校卒業後に、名伯楽小出義雄のもとで指導を受けます。2013年モスクワで開催された世界陸上10,000mで5位入賞。しかし、足の故障もあり2014年に惜しまれて、現役を引退しました。
約4年間OLとして働き、競技から離れていましたが、足の故障も治りプロ選手としての誘いを受け、2018年に30歳で現役復帰。
新コーチと共に体を一から作り上げることは、とても大変だったでしょう。持ち前のストイックさや、人一倍負けない気持ち、結果にこだわる強さは、プロ中のプロといった感じがします。
日本陸連公式サイト:https://www.jaaf.or.jp/athletes/profile/hitomi_niiya/
2020年は完全復活
2019年から順調に結果を残してきましたが、2020年に完全復活し、さらに一段上がったような印象があります。2020年1月にはハーフマラソンの日本記録(1時間6分38秒)を作り、9月には5,000mで日本歴代2位(14分55秒83)の好記録をマーク。
10月のプリンセス駅伝と11月のクイーンズ駅伝で、エース区間の記録を大幅に更新する活躍。12月に10,000mの驚異的な日本記録を出し、まさに勢いが止まりません。
2021年はさらに活躍が期待できます。東京オリンピックが本当に楽しみですね。