Level Up Future

公開日 2025年2月25日 最終更新日 2025年2月25日

「路傍のフジイ」の最新刊は何巻なのか、どのような物語なのか気になるという人は多いでしょう。こちらの作品は、幸せの定義について考えさせられるヒューマン・ドラマです。

「次にくるマンガ大賞 2024」コミックス部門では第17位、「このマンガがすごい! 2025」オトコ編では第5位にランクインした話題作でもあります。では今回は、そんな「路傍のフジイ」の最新刊の発売情報やストーリーについて詳しくご紹介していきましょう。

平凡なようで不思議な魅力を持った主人公

「路傍のフジイ」は、2023年5月より小学館・週刊ビッグコミックスピリッツにて連載されている作品です。作者は「リボーンの棋士」でおなじみの鍋倉夫先生です。

2025年2月25日（火）時点で既刊は3巻で、早くも累計発行部数70万部を突破している大人気作品です。次巻にあたる第4巻は、2025年2月28日（金）に発売される予定です。

本作の主人公は、40代の独身男性。都内の中小企業に勤務している非正規社員で、職場では決して目立つ存在ではありません。真面目ながら冴えない人物で、周囲から「ああはなりたくない」と思われているものの、実は彼には大切にしている世界がありました。

他者と自分を比較して落ち込んだり、マウントをとり合ったりする人間社会とは無縁な主人公。誰よりも「自分自身」を生きる彼の姿を見ていると、普通の生活とは何なのか、幸せとは何なのか考えずにはいられなくなります。

「路傍のフジイ」は、主人公の平凡な生活と彼を取り巻く人々の暮らしが変化していく様子が描かれるヒューマン・ドラマです。

「路傍のフジイ」のストーリー

都内の中小企業に勤務する田中（たなか）は、30代前半の独身男性です。彼は代わり映えしない日々に希望を見出せず、将来に不安を抱えながら生活していました。

しかし同僚の40代男性・藤井守（ふじいまもる）の姿を見て「彼よりはマシ」と自分に言い聞かせていたのです。藤井さんは、三白眼と感情が読み取れない表情が特徴で、社内では周囲から下に見られている人物です。

仲間から頼られることも、飲み会に誘われることもなく、傍から見れば孤独に思える日々を送っていました。ところが、とある休日、田中は街中で藤井と遭遇します。

ひょんなことから藤井の部屋を訪れることになった田中は、藤井の多趣味ぶりを知り驚かされます。部屋には、大量の本や絵画、昆虫や陶芸作品、そしてギターがありました。

田中は、皮肉的な感情も持ちながら「弾いてくださいよ、ギター」と藤井に言います。藤井の弾き語りは拙いもので、部屋にある絵画も陶芸作品も、決して出来のいいものではありませんでした。

しかしその弾き語りには心に響くものがあり、田中は思わず涙するのでした。藤井は人生を楽しんでいる人間であり、自分こそがつまらない人間だと気がついた田中。

そして、これまで抱いていた「藤井のようになりたくない」という考えを改め、またこの部屋に遊びに来たいと感じました。彼のように、何の変哲もないはずの藤井と接したことで感化され、考え方や生き方が変化していく人々の様子を描いた物語です。

本作の魅力について

本作の主人公は藤井さんですが、他者目線から彼の生き様が描かれているのが特徴です。他者と比較したり自分を卑下したりせずに生きていくのは難しいことです。

ただ自分の好きなことに取り組み、穏やかで充実した日々を過ごすことに憧れる人は多いでしょう。誰しも忙しい毎日の中で大切なことを忘れてしまいがちになりますが、藤井さんの姿を見ていると、彼と関わる登場人物たちと同様にハッとした気持ちになるものです。

幸せとは、他人ではなく自分の目線で感じるべきなのだと気づくことができる作品です。承認欲求を一切持たない藤井さん。孤独でも、見くびられても気にしない、そんな達観した考えはなかなか持てないかもしれませんが、自分を確立した生き方に次第に惹かれていってしまいます。

彼自身は特別なことをやっているつもりはないのに、自然と周囲の人が彼の魅力に気づき感化されていく過程が見ていて興味深いです。

自分に素直にカッコよく生きたいと思える

真面目で表情が乏しく、決して目立つような生き方はしていない主人公・藤井さん。一見すると空気のような存在なのですが、それは自分軸でマイペースに人生を楽しんでいるからなのだと、よく注目してみると気づくことができます。

そして藤井さんを取り巻く人々が、彼と関わりモノクロの日々から脱却していく様子にも注目したいところです。「人生が楽しい」とはっきり言える藤井さんの素直さと、心の赴くままに人生を謳歌するカッコいい生き様にただならぬ魅力を感じる作品です。

小学館「路傍のフジイ」公式ページ：https://bigcomics.jp/series/01f466438167d